越冬用の丈夫な細胞に変身
水虫はあんがい軟弱な菌だと説明しました。表皮のケラチンを住処としているわけですが、ではなぜ皮膚の深部にどんどん進出しないのか。もっと住処を広げてもよさそうなものですが、水虫は生きた人間が苦手なようです。死んだ組織であるケラチンは居心地がいいけれども、血の通った元気な細胞に出くわすとひどい目にあってしまう。
要するに人体の防衛システムが発動されると水虫なんか、たちまちやっつけられてしまうわけです。苦手な生きた細胞に出くわしたり、水虫薬でやっつけられたり、こういう悲惨な目にあうと水虫は降参します。ただ降参するのではなく伸ばした菌糸がブツブツ切れて、それぞれが丈夫な細胞に変化してしまう。
チョウチョが越冬用のサナギに変貌したようなもので、こうした丈夫な細胞はポロボロと剥がれて、あちこちに落っこちます。そして、次の復活の時を待つ。だから、水虫は治りにくい。治ったはずなのにまた感染してしまいます。古い靴や掃除をしない部屋が問題というのはこうした理由からだったんですね。
