口内炎は色々な原因で起こります。原因の明らかなものもあれば、あまり明らかで ないものもありますが、細菌、真菌、ウイルスなど炎症を起こす原因が明らかな感染 症として起こるものが前者の代表です。
細菌性のものでは歯肉炎、成人型歯周炎が最 も多いが、前述したようにこれらを口内炎と呼ぶのはあまり適当ではありません。歯 臭ポケットからの感染以外では、口腔粘膜の表面からの細菌感染は分泌型LGA抗体を はじめとする粘膜免疫の感染防御機構の働きで感染は防御され、まれにしかみまれません。
急性壊歯肉炎・口内炎はときに生じるが、HIVとの関連で日和見感染として起 こることがあります。口内炎とは、口腔粘膜のある程度広い範囲に及ぶ炎症状態の呼 び名です。
ほかにはまれながら連鎖球菌性口内炎・咽頭炎、ブドウ球菌感染症、淋菌性口内炎 結核、梅毒などが挙げられます。
細菌感染症の発症は原因菌の侵入、定着、増殖、代 謝産物や毒素の産生、マクロファージや好中球による貧食や免疫食作用、リソソーム など淡白分解酵素の放出、組織壊死など化膿性炎症の一般的経過と同様か類似してい ますが、菌の種類により炎症のタイプは変化します。
連鎖球菌性口内炎では急性炎症 の傾向が、結核や梅毒では慢性肉芽腫性炎症の傾向があります。真菌性口内炎として は口腔カンジダ症が大部分であり、起炎菌はCandida albicansが多いが、graburata 、krusei、tropicalis などもみられます。広辞苑で口内炎を調べてみると、「口内 の粘膜や軟組織に起こる炎症」とあります。
Candidaは常在菌の一種であり、その増殖は日和見感染の要因で起こっています。 菌交替現象や宿主の感染防御の低下などの誘因があり、Candida は侵入、定着、増 殖し、宿主の免疫反応の抵抗を受けつつも感染し、炎症を起こします。
ウイルス性 口内炎には、ヘルペス性口内炎、帯状疱疹、ヘルパンギナなどがあります。ヘルペス 性口内炎は単純ヘルペスウイルス1型、帯状疱疹は水痘帯状ヘルペスウイルス、ヘル パンギナではA郡コクサッキーウイルスがそれぞれ原因ウイルスです。
ウイルスはそ れぞれ細胞内で複製し、細胞に細胞変性効果を与えて病変を形成します。一般に人々 の間で口腔内にみられる歯牙疾患以外の炎症性病変をなんでも口内炎と呼ぶ傾向があ ります。
口内炎をはじめとする口腔粘膜の病変は、様々な症状を呈します。症状は粘膜表面 の形態で平坦か、隆起しているか、凹んだ状態でまず区別することができます。さら に病変部の肉眼的な微細構造が平滑か、小顆粒状か、乳頭状か、結節状か、しわ状か 、溝状かなどを鑑別し、次いで色の変化をみます。
変化なし、発赤、紅斑、白斑、色 素斑、紫斑、貧血状など、粘膜における色の変化は炎症の場合とりわけ重要なサイン です。色の変化はなく粘膜が萎縮していることもあります。表面が隆起のタイプでは 丘疹、水疱、嚢胞、膿瘍、ポリープ、結節などが、凹んでいるタイプではびらん、ア フタ、潰瘍などが該当します。
新歯学大辞典では口内炎の説明に、「口腔粘膜に諸種 の源因の炎症性病変がみられる状態の総称。」とある。
粘膜表面に綿状、環状、網目状など様々な模様を呈することがあります。また口腔 粘膜の病変においては、この様な症状は、その疾患の病期や時期によって変化するこ とがあります。
しかしこれらは症状をみてとりあえずの言わば初診時の臨床診断とし て用いるならよいが、その症状を呈する様な口内炎にはいくらかの疾患が該当するの で1つの独立した疾患単位としyての病名ではありません。
つまり、最終的な確定診 断名として用いるには適当でないのです。したがって口内炎とは歯肉、舌、口唇、口 角以外の口腔粘膜に炎症がある場合か、またはこれらの粘膜に炎症があってもよいが 、その場合は一領域だけでなくある程度広い領域に炎症がみられる状態を意味してい ると考えられます。
口内炎の症状と疾患名との関係は症状が時期により変化するので一元的には規定で きませんが、口腔粘膜でよくみられる症状について、通常考えられる疾患名を「口腔 粘膜症状と疾患1,2,3」として示しました。
これにはその疾患は最も一般的に示 す症状であること、またその疾患が比較的重要なあるいは頻度が高い疾患であること などを基準として代表的なものを挙げているので、すべてを網羅するものではありま せん。また、このすべてが炎症ではありません。
つまり、口内炎以外も含んでいます 。紅斑やびらんを呈する代表的なものを挙げていますが、紅斑・びらんは口内炎の最 も多い症状であり、また紅斑からびらんへの移動もしばしば見られる変化です。