クローン病の治療
栄養療法
クローン病は、原因が不明なため体質改善療法として治療効果をはかるものです。
栄養剤を利用して栄養補給を行なうことで、クローン病の状態の良いときに、食事中の繊維成分を少なくして消化系の臓器に負担をかけない低残渣食を組み合わせて、クローン病の緩解期を維持する治療法と言えます。
栄養剤はミネラル分を中心としたもので、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄分、銅、マンガンなどです。これらはタンパク質でなくアミノ酸で構成されていて、脂肪分が少なく糖質で消化器系に負担がないことが前提となります。
クローン病の急激な改善は期待出来ませんが、確実に症状を緩和して、本来の免疫機能を正常化する効果は期待出来ます。
薬物療法
クローン病に用いられる薬物は免疫抑制剤が中心です。
5-アミノサリチル酸製剤、副腎皮質ステロイドや6-MPやアザチオプリンなどが上げられますが、5-アミノサリチル酸製剤は クローン病の緩解期を維持する治療法の場合に処方されますが、同時に栄養療法を行なうことで、より高い効果を示します。
炎症が消化器全般に広がっている場合は、5-ASA製剤メサラジンが使われますが、消化吸収が遅いために、消化器系全体に効用を発揮します。
副腎皮質ステロイドは重症以上の症例の場合処方されますが、ステロイド系の薬物は効果が高い分副作用の心配があるとされています。
基本的に免疫抑制剤を使うことは、感染症にかかりやすくなるというリスクも背負う事になり、投与に関しては細心の注意が必要です。
白血球除去療法
白血球除去療法は、最新の治療法と言えますが、血液の免疫機能を司る白血球だけを抽出して、免疫作用を低下させるものです。
かなり重度のクローン病の場合、炎症や潰瘍の症状が進行した場合、強制的に白血球を取り除き、免疫力を低下させ、免疫異常を押さえつけるものです。
免疫抑制剤と違い、副作用がない事が特徴と言えますが、あくまで重篤時の対処療法と言えます。
週に数回処理が行なわれますが、その期間の健康管理には注意が必要で、感染症のリスクも高くなります。しかし効果の程は高く、免疫異常が原因の難病にも採用される事が多くなりました。
白血球除去療法はもともと輸血の技術の応用と言えるものですが、異常な免疫作用を示している白血球だけを除去するようになっているため、適切な期間を設けた療法を行なえば、感染のリスクも高くはありません。
抗サイトカイン療法
抗サイトカイン療法は、レミケードやエンブレルと言われる抗TNFα阻害剤を使った療法です。
自己免疫疾患は特定の細胞に情報伝達をするサイトカインと言う物質が、誤った情報を細胞に伝えることで生じるとされているため、これを防ぐ薬剤が抗TNFα阻害剤と言われるものです。
免疫抑制剤の一種ですから、やはり感染症のリスクは伴います。まだ症例が海外でも少なく、長期的な効果の程は不明ですが、新しい免疫抑制治療のアプローチとしてサイトカインに重点を置いた、免疫抑制剤に対する期待は大きく、クローン病だけでなくリュウマチなどの治療法としても期待されています。
ただいまのところ国内での認可は、その副作用の問題で、臨床試験の段階で足止めを食っている状態です。
外科手術
クローン病で外科手術が採用されるケースは、潰瘍性大腸炎などの場合と同じで、炎症や潰瘍が進行して、狭窄、瘻孔(ロウコウ)、膿瘍(ノウヨウ)などの症状に陥った場合に行なわれる処置と言えます。
要するに薬物療法では対処する事が出来なくなり、生命に関わる重篤な症状の場合に、最終の治療法として行なわれます。
患部の切除が原則的に行なわれますが、小腸などの狭窄の手術を行なっても、半数は2年以内に再発すると言う報告があるくらいで、根治治療とは言い切れません。
再発防止のためには、術後の通院は欠かせません。潰瘍性大腸炎に比べれば、術後のケアさえしっかり行なっていれば、再発率は低いと言えます。
クローン病の外科手術に用いられる手術法としては、小腸の狭窄に用いられる狭窄形成術、肛門の患部に用いられるセトン法など部位によってさまざまありますが、内視鏡を使った患者の負担を軽減した手術法も開発されています。
